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Post Date:2025年8月17日 

凛とした沈香、やさしい白檀 ― 香りがもたらす夏の涼

灯(TOMORI) 沈香と白檀

「香る涼 - お香で夏の暑さを凌ぐ」 では、杉や檜など、爽やかな木の香りを紹介しました。 暑い日には、こうした軽やかな香りがよく似合います。

けれど──沈香(じんこう)や白檀(びゃくだん)のような香木の、凛とした深い香りも、静けさの中に涼しさを見出せます

お寺の日常は、白檀の香りですが、厳かな場では沈香が焚かれ、静けさと緊張感を添えます。

白檀の香りは、やわらかな甘さの奥に、微かなほろ苦さを秘めた香り。乳香のようなまろみと、木肌の渋みが、空間を穏やかに包みます。

一方、沈香(じんこう)の香りは、重厚さと透明感が同居しています。

ほのかに甘い樹脂の香りに、煙のような静けさと、時折感じる清涼感が重なり合い、心の奥を静かに鎮めます。

深い森の木陰に差し込む一筋の光のように、涼やかさを伴った落ち着きをもたらす香りです。

白檀や沈香といった香木は、仏教文化とともに日本に伝わり、長い年月を経て“日本の伝統的な香り”となりました。

そんな白檀と沈香の香りを、夏の涼を楽しむひとときに添えてみるのも素敵です。


香木とはなにか?

「香木(こうぼく)」とは、焚くことで芳しい香りを放つ天然の木のことをいいます。代表的なものとして、沈香(じんこう)や白檀(びゃくだん)、伽羅(きゃら)などがあります。

特に沈香は、東南アジアに自生するジンチョウゲ科の樹木が、傷を負ったときに分泌する樹脂が、長い年月と高温多湿の環境の中で熟成されて生まれる、非常に稀で神秘的な香木です。

その沈香の中でも最上級とされる特別な存在が、伽羅です。わずかな香りだけで人を魅了し、古来より最高の香木として尊ばれてきました。

伽羅は、沈香が生まれる自然条件の中でもさらに限られた環境と、長い年月の重なりによってのみ生まれるため、その香りは「気品」「幽玄」「奥深さ」と形容されます。

次に白檀ですが、木そのものに香気成分(サンタロール類)を持ち、木の中心部分に甘くやさしい香り、その奥にほのかなほろ苦さを蓄えています。

これらの香木は、古来より香道や仏教儀式など、静かに心をととのえる香りとして用いられてきました。現代では、香木を細かく粉末にし、他の天然香料と練り合わせて作られる「お香」の原料としても広く使われています。

香木は、ただ香るだけの存在ではなく、悠久の時間が育んだ“香りの結晶”とも言えるでしょう。


沈香の涼しさ - VECThill「灯 沈香」

沈香の香りには、ふしぎな静けさがあります。甘さを抑えたスモーキーな落ち着きのある香りは、心を鎮め、夏の暑さに静かな涼をもたらしてくれます。

灯(TOMORI) 沈香(ANGARWOOD)

焚き進むにつれて、淡い甘さが余韻となり、空気の奥に澄んだ清涼感を残します。

VECThill(ベクティル)の『灯(TOMORI) 沈香』は、まさにこの沈香の持つ涼やかさを香りとして表現したお香です。

深みのある甘さと透明感をそなえ、ゆるやかに立ちのぼる煙が、部屋全体を静謐な空気で満たしてくれます。

夏の朝、静かに回るDC扇風機。その柔らかな風にのって沈香の香りが漂えば、これから始まる一日のあわただしさの前に、心を落ち着ける静かなひとときを味わえます。

静かな涼をもたらす沈香の香りを、ぜひ日常に。


白檀のやさしさ - VECThill『灯 白檀』

白檀の香りには、やわらかな甘さと、ほのかなほろ苦さが同居しています。その奥に潜むまろやかさが、夏の空気をやさしく和らげ、心に安らぎの涼をもたらしてくれます。

VECThill(ベクティル)の『灯(TOMORI) 白檀』は、そんな白檀の魅力をシンプルに表現したお香です。ほっと息をつけるような落ち着きと、奥行きのある甘さが、日常の中に静かな休息を与えてくれます。

夏の午後、窓から差し込む光の中で、ふと漂う白檀の香り。それは、あわただしい時間の流れをやさしく緩め、縁側で風鈴を聴きながら過ごすような、静かなひとときを運んでくれます。

やさしい甘さが心を和らげる白檀の香りも、日常に添えてみるのも素敵です。


不揃いの美徳 ― 職人の想いを無駄にしない

お香づくりの過程では、どうしても形が少し曲がったり、不揃いな品が生まれてしまいます。

見た目は不格好でも、焚けば沈香や白檀の香りは変わらずに広がります。

そうした品を無駄にせず届けるために用意されたのが「訳あり品」、一つひとつ職人の手で仕上げられた香りを、気軽に楽しめる価格で提供されています。

環境への配慮と、作り手の想いを大切にする選択。不揃いだからこその一期一会。そんな香りのひとときを、心に留めてみてください。

いつも販売されているわけではないので、見かけたときには是非。


横置きタイプのお香立てを

こちらは再掲になりますが、お香盾は、灰が散らばりにくい横置きタイプがおすすめです。

お香の灰はとても軽く、立てて焚いた場合は、高さの分だけ空気の流れに影響されやすくなるので、灰が受け皿の外に飛び出してしまい、掃除が大変になります

横置きタイプなら、お香の下に受け皿が沿うように配置されるため、灰をしっかりとキャッチできます。後片付けも簡単なので、日常使いにとても便利です。

また、横置きにすると、煙が水平方向にゆるやかに広がり扇風機の弱風にもふわりと乗って、自然なかたちで空間に香りが溶け込みます

普段、部屋に置いて使っているお香立ては、本来は縦置きタイプで、フタ付きのお香入れとして販売されていたものですが、お香を斜めに挿して焚き、お香入れの部分を灰受けとして活用しています。

そんな工夫をするよりも、ステンレス製の網などの上にお香を横に寝かせてセットする“完全横置きタイプ”の香立てなら、灰が横に落ちる心配もなく、安全性にも優れています。

また、お香を最後まで使い切ることができ機材的です。

蓋つきの構造なら、部屋に出して置いても安心なので、日常使いにぴったりです。

そんな工夫をするよりも、ステンレス製の網などの上にお香を横に寝かせてセットする“完全横置きタイプ”の香立てなら、灰が横に落ちる心配もなく、安全性にも優れています。

また、お香を最後まで使い切れるので経済的です。

蓋つきの構造なら、部屋に出して置いても安心。扱いやすさと安全性を兼ね備えた、日常使いにぴったりのお香立てです。


香りで夏を愉しむ

強い日差しと蒸し暑さのなかでも、香りは心にやさしい涼を運んでくれます。

凛とした沈香の静けさ、やさしい白檀の甘さ。どちらも古くから人々に愛され、いまも私たちの暮らしに寄り添い続けています。

夏の暑い午後に扇風機の風にのせて香りを漂わせるもよし、朝や夜の静寂に添えてみるもよし。

香りは、夏を涼やかに過ごすための小さな工夫であり、ささやかな贅沢です。

香木の香りとともに、夏を愉しんでみませんか。

Post Date:2025年8月11日 

バルミューダの代わりになる?二重構造羽根DC扇風機 TOPZEEとQUADSを比べてみた【比較レビュー】

TOPZEE(トップジー)TPZ-001A

長時間、同じ場所に扇風機の風を当て続けると、皮膚や粘膜が乾燥し、筋肉が冷えて血流が悪化します。その結果、頭が痛くなったり、体がだるくなったりすることもあります。

しかし、自然の風のようにやわらかく広がり、体全体を包み込む風なら、ずっと浴びていても心地よいのです。

そのことを実感させてくれたのが、自然の風にこだわった"バルミューダ ザ・グリーンファン"

独自の二重構造羽根が生み出す、大きく包み込むやわらかな風。従来の人工的で硬い風とは異なり、自然界の風のように浴び続けられる心地よさです。

【引用】BALMUDA公式 - The GreenFan

The GreenFan のコンセプトは「気持ちのよい夏の風」。理想的な扇風機ですが、価格が高く、2台目の購入には手が届きにくいのが難点。

そこで今回は、バルミューダの特徴に近い次の条件を備えた、より手頃な扇風機を探してみました。

  • 立体的でやわらかな風を生む 二重構造の羽根
  • 静音で弱風が作れる DCモーター扇風機

自然の風を生み出す二重構造の羽根の力

バルミューダ「The GreenFan」が生み出す心地よい風の秘密は、二重構造の羽根にあります。

The GreenFanの二重構造の羽根

外側の大きな羽根は遠くまで届く直進性のある風を、内側の小さな羽根はやわらかく拡散する風を作ります。

この2種類の羽根が生み出す速度の異なる風は、内側の羽根から発生する遅い風が外側の速い風を引き込み、風同士がぶつかり合うことで大きく拡散します。その結果、面で広がる包み込むような優しい風が生まれるのです。

The GreenFanの広がりながら遠くまで届く風
【引用】Amazon - BALMUDA The GreenFan

2つの二重構造羽根DC扇風機

The GreenFanは魅力的な扇風機ですが価格が高めです。

そこで探してみると、TOPZEE TPZ-001AQUADS SMARTAIR DC という、二重構造羽根を搭載した中華製DCモーター扇風機?が見つかりました。


TOPZEE TPZ-001A の羽根

TOPZEE(トップジー)は、東京都荒川区にある株式会社Power Engineが運営するライフスタイルソリューションブランドです。DC扇風機はいかにも中国製という佇まい、、。

羽根の形状はバルミューダーに似ています。内側の羽根枚数がGreenFanより多い(7枚)というのが特徴です。

TOPZEE(トップジー)の二重構造の羽根

左がバルミューダー、右がTOPZEEの二重構造の羽根です。

バルミューダーvsトップジー 羽根の比較
  • 二重構造羽根(外側9枚+内側7枚) を採用
  • 外側の9枚羽根 … 風を遠くまで直進させる
  • 内側の7枚羽根 … 風をやわらかく広げ、体に当たる感覚をやさしくする
【引用】Amazon - TOPZEE TPZ-001A

Amazonの商品説明には羽根について下記のように記載されています。

✅ 航空力学の知見を導入して開発した「3D曲面ブレード」が従来の性能限界を突破。各羽根の角度を精密調整し、リビングの隅々まで到達する広域気流を実現しました。

✅ 「気流拡散率4倍の革新設計」一般扇風機比で約4倍の気流拡散効率を達成。拡散速度を制御した気流が体全体を包み込む、疲れ知らずの快適環境を創出します。

【引用】Amazon - TOPZEE TPZ-001A商品説明

キャッチコピーは「暮らしに無騒音極上の新風を」、漢字やや多めです、、。


QUADS SMARTAIR DC の羽根

QUADS(クワッズ)は、東京都目黒区の株式会社QUADSが展開する家電ブランドで、企画から設計、開発、販売までを手がけています。

羽根は、バルミューダ「The GreenFan」と同じ外側9枚+内側5枚の二重構造(合計14枚)を採用しています。羽根の形状は流線型でスリムなデザインです。

左がバルミューダー、右がQUADSの二重構造の羽根です。

バルミューダーvsクワッズ 羽根の比較
  • 外側の9枚羽根 … 直進性のある風を作り、遠くまで届ける
  • 内側の5枚羽根 … 風をやわらかく広げ、肌当たりをやさしくする

外側と内側で異なる速度と角度の風を発生させることで、肌当たりの良い風を作りつつ、部屋の奥までしっかり届かせます。

キャッチコピーは「心地よい風を遠くまで」。シンプルでストレートな表現ですが、カタログ値での裏付けはありません。


TOPZEE TPZ-001A と QUADS SMARTAIR DC、どちらがいい?

DC扇風機を選ぶとき、デザイン性は外せないポイントです。

その点、TOPZEE TPZ-001A も QUADS SMARTAIR DC も、どちらもシンプルでミニマルなデザインが魅力です。

特に QUADS SMARTAIR DC は、台座部分にパネルやインジケータが一切なく、まさに“ド・シンプル”の極み。さらに、グレージュウッドモデルは木目調のポールを採用しており、他の扇風機にはあまり見られない個性的な仕上げになっています。

【引用】Amazon - QUADS ASMART DC グレージュウッド

下表に機能的な違いをまとめました。

特徴TOPZEE TPZ-001AQUADS SMARTAIR DCBALMUDA The GreenFan
モーターDCモーターDCモーターDCモーター
羽根構造30cm 二重構造(外側9枚+内側7枚)30cm 二重構造(外側9枚+内側5枚)二重構造(外側9枚+内側5枚)
風量設定26段階8段階4段階
風速1.93~5.44m/s
最大到達距離 約25m
未公表最大到達距離 約15m
ゆらぎ風機能自然風モード--
首振り上下左右自動左右自動/上下手動左右自動/上下手動
静音性約31dB約30dB10dB(最小)
消費電力32W24W20W

TOPZEE TPZ-001AQUADS SMARTAIR DCの違いは、下記の3点です。

  • 風量設定の細かさ(26段階 vs 8段階)
  • 首振りの方式(360°対応か否か)
  • ゆらぎ風機能の有無

見た目で選ぶなら、間違いなくQUADS SMARTAIR DC グレージュウッドモデルです。

ただし、二重構造の羽根を備えていても、本家バルミューダの風の心地よさに及ぶとは思えません。

そのため、風の心地よさを重視するなら、ゆらぎ風機能(自然風モード)を備えた TOPZEE TPZ-001A のほうが、より魅力的に感じられます。

TOPZEE TPZ-001A の3種類のモード:

モード名特徴・説明
通常モード設定した風量を一定で送り続ける
自然モード風の強弱をランダムに繰り返し、自然の風のようなゆらぎを再現
睡眠モード使い始めはやや強め、その後徐々に弱まり、眠りを妨げないやさしい風に変化

機能とデザインを比較して、最終的に自分の生活スタイルに合うほうを選ぶのがベストです。

「んー、、」TOPZEE TPZ-001Aをポチりとな。


TOPZEE TPZ-001Aの使い勝手

実際に使ってみて感じたのは、次の5点です。

  • 風量3以下の微風は心地よいが、バルミューダと比べると風の当たる面がやや小さい

  • その点を自然風モードがうまくカバーし、自然の風に近づけている

  • 横方向の首振り機能はやや不安定で、60度に設定していても時々180度まで回転してしまう

  • 首振りは水平360°/垂直105°に対応しており自由度は高いが、その分ヘッド部分の形状はやや重ため

    TOPZEEのヘッドの形状はスマートではない

  • リモコンは「左が風量アップ、右が風量ダウン」と直感的ではなく、慣れが必要

    TOPZEE リモコン

TOPZEE TPZ-001Aの生み出す風とバルミューダの風を比べると大きな違いがあります。

一瞬、「それならデザイン重視で QUADS SMARTAIR DC グレージュウッドモデルにしても…」という思いもよぎりましたが、

しかし、二重構造羽根や自然風モードなど快適性を高める機能を備えながら、この価格帯で入手できるのは大きな魅力です。

総じて、TOPZEE TPZ-001Aコストパフォーマンスの高いDC扇風機と言えます。

Post Date:2025年7月28日 

フォルカンで書く、ゆっくりの美学

PILOT Custom 743 FA (ファルカン)

PILOTのCustom Heritage 912 SM を手にして、「万年筆の書き方」を初めて意識するようになり、「書くことの楽しさ」にも惹かれていきました。

そこから、「もっと美しく書きたい」という気持ちが芽生え、行書の練習を始めることに。

軟調ペンで紙の上をなぞるように書く、そのなめらかな筆致は、行書にぴったりだと感じていました。

ところが、WANCHERの小太刀ニブに出会って、字幅の変化の面白さと表現の奥深さにハッとさせられたのです。

小太刀のしなやかな書き味を楽しんでいるときに、ふと頭をよぎったのが――「そういえば、PILOTのFA(ファルカン)って、どうなんだろう?」


フォルカン(FA)ニブとは?筆のようにしなる特殊ペン先

「フォルカン(FA)」は、パイロットが開発した特殊ペン先のひとつです。筆のようなしなりと、線に強弱をつけられる表現力で、多くの書き手に支持されています。

PILOT Custom 743 FA (ファルカン)

フォルカンニブの語源と形状

「Falcon(ファルコン)」とは、英語で「ハヤブサ」を意味します。その名の通り、ペン先はハヤブサのくちばしのように細く長く湾曲した独特の形状をしています。

Custom 743 FA と Heritage 912 SMのペン先を比較する

この形により、スリット(ペン先の割れ目)が通常より深く、しなりやすく設計されているのが特徴です。筆圧をかけるとペン先が左右に開き、インクの出方が変化して線が太くなり、筆圧を抜けば細くなる ― そんな筆のような書き味を万年筆で実現しているのが、フォルカンニブです。


FAニブと軟調ペン先の違い

パイロットの SM(Soft Medium)や SF(Soft Fine)など、“S”のついたペン先は「軟調ペン先」と呼ばれています。

これらは、しなやかさとクッション性が特徴で、長時間の筆記でも手が疲れにくく、万年筆初心者にも扱いやすい設計です。

一方で FA(フォルカン)ニブは、筆圧をかけるとスリットが左右に大きく開き、字幅に明確な変化が生まれるように作られています。

筆圧でスリットが広がり太い筆致となるフォルカン

そのしなりを活かして、線に“表情”をつけることができる、表現重視のペン先なのです。

下表は、フォルカン(FA)と軟調ペン先(SM,SFM,SF)の違いです。

項目FA(フォルカン)ニブ軟調ペン先(SM, SFM,SF)
線の強弱表現◎ 筆圧で細〜太まで大きく変化する△ 緩やかに変化するが基本は一定
しなり◎ よくしなる。スリットが大きく開く◯ やわらかく沈み込む感覚。スリットの開きは小さい
書き味表現力が高く繊細。筆のような筆致表現が可能なめらかでクッションのある書き心地。長時間筆記に向く
扱いやすさ△ 慣れが必要。筆圧やスピードのコントロールに注意◎ 万年筆初心者でも扱いやすい

フォルカンニブには、筆圧によって細〜中〜太の線を描き分けることができます。


フォルカンニブを搭載した主なモデル

フォルカン(FA)ニブを搭載できるパイロットの日本国内向けモデルは、以下の3つです:

  • Custom(カスタム) 743 FA(14K・15号ニブ)
  • Custom(カスタム) 742 FA(14K・10号ニブ)
  • Custom Heritage(カスタム ヘリテイジ) 912 FA(14K・10号ニブ)

※「14K」とは、金の含有量を表す記号です。Kは Karat(カラット) の略で、金の純度を示す単位です。24Kを純金(100%)とし、14Kは24分の14、すなわち約58.3%の純金を含んでいることを意味します。

モデル名ペン先
サイズ
FAニブ
対応
備考
Custom 74315号✅ありパイロット唯一の15号 FAニブ搭載モデル。しなりが強く、線の強弱を出しやすい
Custom 74210号✅あり743よりやわらかさは控えめ、適度なしなりと安定した筆記バランス。
Custom Heritage 91210号✅あり742と同じく10号FAニブ、742よりもコンパクトで軽量・細身

Custom 742とCustom 912は同じ10号FAニブですが、デザインが大きく異なり、書き味やバランスに微妙な違いがあります。以下はその比較表です。

項目Custom 742 FACustom Heritage 912 FA
ペン先10号 FA(共通)10号 FA(共通)
軸の形状バランス型ベスト型
最大軸径約14.5mm約13.5mm
全長(キャップ付き)約146mm(やや長め)約137mm
重量(インクなし)約24g(やや重め)約19g
筆記バランスやや重めで後ろ寄り(胴軸側に重さあり)やや軽く、前重心(指先に近い)
装飾トラディショナルな金モダンでシンプルな銀
コンバーターCON-70(共通)CON-70(共通)

行書を練習するのに最適なFAニブを持つ万年筆は?

PILOT Custom 743 FA (ファルカン)

今回、FAニブの万年筆を購入する目的は「行書を練習すること」。その観点で、3モデルを「行書適性」で比較してみました。

モデル名適性理由・特徴
Custom 743 FA最適15号FAニブは筆のようにしなり、線の強弱が自在。はね・はらいが自然に出せる。漢字の表現に最も適している。
Custom 742 FA高適性10号FAニブ。適度な重量感と安定した筆記バランスで、とめ・はね・はらいが決まりやすく、行書に非常に向いている。
Custom Heritage 912 FA良い同じ10号FAニブ。軽快で扱いやすく、日常筆記としての行書にも適している。やや速書き向き。

当初は Custom 742 FA にしようかと思っていましたが、「ペン先が大きい方が軟らかい」というこれまでの経験と、PILOTの15号ニブの期待から、最終的に Custom 743 FA をポチり。


価格改定について

2024年10月1日より、パイロットの価格改定で、

  • Custom 742 / Custom Heritage 912:26,400円 → 33,000円
  • Custom 743:39,600円 → 44,000円

と、かなりの値上げ幅ですが、ECでは割引価格で購入可能です。

また、パイロットのCustomシリーズは量産型で品質も安定しているため、信頼できるショップであればネットでの購入でも安心です。


Custom 743 FAを使ってみて

Custom 743 FAのペン先は、軟らかすぎず、ちょうどいいしなり具合です。少し筆圧をかけることで字幅に大きく変化を出せます。

字幅の変化が楽しめる14K 15号フォルカン

体感としては、ペン先の軟らかさは以下の順で感じられます:
Custom Heritage 912 SM < Custom 743 FA < Platinum #3776 SF(細軟)

いちばん軟らかい #3776 SFは、少しの筆圧で大きくしなりますが、字幅は大きく変化しません。

一方、742 FAは、筆圧をほんの少しかけるだけでペン先がぐっと開き、線がふわりと太くなる。力を抜けば、スッと線が細く戻る。この「入りと抜きの動き」が心地よい筆致です。

反対に、強い筆圧で書く方には不向きかもしれません。軽やかなタッチでリズムよく書くときに、その魅力が際立ちます。


普段使いは軟調ペン、表現したいときはFA

PILOTの軟調ニブ(SMやSFM)は、どちらかというと日常的な筆記やメモに向いています。少し速く書くような場面でも、ペン先がスムーズに追従してくれるのが魅力です。

そうした特性から、Custom Heritage 912 は、ジャーナリングなど日々の記録に最適な一本といえるでしょう。

それに対して、フォルカンニブは「丁寧に書こう」という気持ちにさせてくれます。書くスピードは少し落ちるけれど、その分、書くことの楽しさや奥深さを感じられる。そんなペン先です。そして字の表現力を高めてくれるのでまさに行書の練習にピッタリな万年筆です。


行書に適した万年筆とは

最後に、自分が所有している万年筆の中から、行書に適していると感じたモデルを比較してみました。

モデル名線の表情しなり感書き味の特徴行書への適性
Pilot Custom 743 FA◎(筆のようにしなる)筆圧で線が変化、とめ・はね・はらいもダイナミックに表現できる最適
WANCHER 小太刀ニブ✕(しなりはない)筆圧とペン先の角度で、線の変化を自在に表現高適性
Custom Heritage 912 FA◯(自然なやわらかさ)軽く扱いやすく、筆圧で少し線に変化が出せる良い
WANCHER 渓流ニブ✕(しなりはない)やや太めの字幅で、滑らかに線の強弱が出せる良い
Platinum #3776 SF◎(ふわりとした柔らかさ)クッション感のある柔らかさ。一部向く

行書に適した万年筆を選ぶとき、ポイントになるのは「線の変化のつけやすさ」だと感じています。

Custom 743 FAのように、しなりによって筆圧をそのまま線に反映できるモデルは、まさに筆のような感覚で書くことができます。一方、小太刀ニブのようにしなりがなくても、筆圧や角度によってダイナミックな線が引けるタイプも魅力的です。

何にしても「筆圧をかけずに書く」という、万年筆本来の書き方がベースになります。

まずは少し細めの軟調ペンで、軟らかいペン先の感覚に慣れるところから始めるのが良いのではないでしょうか。


やっぱり一本差しのケースを

新しく迎えたCustom 743 FAにも、以前こちらで紹介したFREESEの一本差し万年筆ケースを購入しました。

革の品質には多少のばらつきがありますが、1,000円とは思えないクオリティです。裏地には肌触りのよい柔らかなスエードが使われていて、しっかりと万年筆を守ってくれます。作りはシンプルですが、見た目も悪くありません。

ディープグリーン(プロギア)、ブラウン(#3776)、ブルー(Heritage 912)、レッド(Custom67)と使ってきたので、今回はブラックを選びました。


次はエラボー、、、?

PILOTのソフトニブ、そしてフォルカンと試してきたので、「自然な書き味でファンも多い」と言われる ELABO(エラボー)も、次はぜひ使ってみたいところです。

ソフトニブでは中字を選んだので、エラボーを買うなら細字?金属軸より樹脂の方が軽くてよい?

嗚呼、物欲の神が騒いでいます……。

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