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Post Date:2025年6月15日 

出汁のある暮らし:夏に効く"冷やし出汁"のススメ

茅乃舎 福岡限定 あごだし 出汁パック

昨年の暑い日、偶然立ち寄った出汁屋さんで「冷やし出汁」をいただきました。ひんやりとした口当たりとともに、かつおや昆布の旨みがふわりと広がり、汗ばむ身体にすっと染み込むような冷たさと、驚くほど上品で澄んだ味わい。

確かに、出汁の効いたスープや味噌汁は格別に美味しい。でも、あくまでも“何かを作るための素材”であり、それ単体を味わうという発想はありませんでした。

そんな固定観念を大きく覆したのが、この「飲む出汁」との出会いでした。出汁はそれ自体が完成された一品であり、心と身体をそっと癒してくれる静かな力を持っています。

それ以来、自宅でも出汁を飲料として取り入れるようになりました。寒い日には温かい出汁で身体をじんわりと温め、暑い日には冷たい出汁で喉を潤す。また、気持ちを落ち着けたいときには、静かに一杯をすすることで、心までも整う感覚があります。

こうして出汁は、私にとって季節を問わず寄り添ってくれる、欠かせない存在になりました。温もりも、涼やかさも、やさしさも――すべてを一杯に閉じ込めた「飲む出汁」。

そんな日々の癒しとなる出汁の楽しみ方、そして暑い夏にこそ味わいたい“冷やし出汁”の魅力を、ぜひ多くの人に知ってもらえたらと思います。


出汁とは? 飲む出汁の魅力と日常での取り入れ方

出汁(だし)は、日本の食文化を支えてきた“うま味”の源です。昆布やかつお節、煮干し、干し椎茸など、自然由来の素材から抽出されるエキスには、食材本来の旨みがぎゅっと凝縮されています。

うま味は、1908年に池田菊苗博士が昆布出汁から「グルタミン酸」を抽出したことで発見されました。それまでは味覚は「甘味(Sweet)・塩味(Salty)・酸味(Sour)・苦味(Bitter)」の4つとされていましたが、“これらに分類できない旨さ”があることが明らかになり、うま味(Umami)は「第5の味」として世界的に認識されるようになったのです。

下表は、出汁に使われる主な材料の分類と特徴です。

分類材料名主なうま味成分特徴
海藻🪸昆布(真昆布、利尻昆布、羅臼昆布)グルタミン酸まろやかで上品なうま味。出汁のベースによく使われる。
魚類🐟かつお節(荒節・枯節)イノシン酸香り高く、すっきりとした力強い味。味噌汁、めんつゆに定番。
魚類🐟煮干し(片口イワシ)イノシン酸+苦味成分味に奥行きがあり、家庭料理に多用。えぐみが出やすいため下処理が重要。
魚類🐟うるめいわしイノシン酸煮干しよりもクセが少なく、上品でまろやか。香りがやさしい。
魚類🐟トビウオ(あご)イノシン酸+香ばしさ炙ることで香ばしさとコクが出る。上品で甘みのある味わい。九州で人気。
菌類🍄干し椎茸グアニル酸しっかりしたコクと香り。昆布と合わせて精進出汁にも。
野菜🌱玉ねぎ、セロリ、にんじん、トマト等グルタミン酸+自然な甘み野菜ブロスとして洋風のスープにも合う。

通常は料理の土台として使われる出汁ですが、実はそのまま飲んでも美味しい健康飲料です。

  1. 胃腸にやさしく、体にすっと染み渡る

    出汁には脂肪や糖分がほとんど含まれておらず、胃腸への負担がとても少ないのが特徴です。食欲がないときや体調が優れないときでも、出汁のやさしい味わいなら無理なく体に取り入れることができます。

  2. 朝の目覚めに、出汁の一杯を

    目覚めたばかりの体に、温かい出汁を一杯。体がじんわりと温まり、内臓がゆっくり目を覚ましていくような感覚があります。コーヒーやお茶の代わりに出汁を飲むことで、胃を荒らさず、やさしく一日をスタートさせることができます。

  3. 栄養と水分を同時に補給

    出汁にはアミノ酸(グルタミン酸、イノシン酸など)をはじめ、ミネラルや微量のタンパク質が含まれており、水分と一緒に体に必要な栄養を手軽に補給できます。とくに夏場は、冷たい飲み物に偏りがちな中で、うま味を含んだ「飲む出汁」は水分補給の質を高めてくれる頼もしい存在です。また、出汁に梅干しを加えることで、さっぱりとした風味とともに、汗で失われがちな塩分も自然に補えます。


飲む出汁に向いている素材・そうでない素材とは?

飲む出汁として楽しむには、素材選びがとても重要です。すべての出汁がそのまま「飲む」用途に最適というわけではなく、素材によっては香りや苦味が強く出てしまうこともあります。また、温かく飲むのか、冷たく飲むのかによっても、向き・不向きがあります。


◎ 飲む出汁に向いている素材

昆布やかつお節、うるめいわし、野菜を使った出汁は、雑味が少なく後味もすっきりしており、飲む出汁として非常に優秀です。香りが穏やかでクセがない素材は、冷たくしても温かくしても飲みやすい仕上がりになります。

素材 飲料適温 特徴
昆布 冷・温 上品で透明感のあるうま味。冷やしても雑味が出にくく、清涼感がある。
かつお節 冷・温 香りが高く、すっきりとした軽やかな風味。温冷どちらでも◎。
うるめいわし 冷・温 クセが少なく、まろやかでやさしい味わい。出汁初心者にもおすすめ。
野菜出汁 冷・温 自然な甘みと旨味があり、体にやさしい印象。冷製スープのようにも楽しめる。

△ 飲む出汁としてはややクセが強い素材

煮干しや干し椎茸、トビウオ(あご)などは、出汁素材としては非常に優秀ですが、そのまま飲む場合は香りやコクが強く出やすいため、少し工夫が必要です。

素材 飲料適温 特徴
煮干し(片口イワシ)苦味やえぐみが出やすい。頭と内臓を取り除き、薄めて温めるとまろやか。
干し椎茸温かいと深みのある香りと旨味が、冷たいと香りが立ちすぎる。
トビウオ(あご)炙りの香ばしさが冷たいと渋みに。温かいと香ばしさが調和する。

温かい出汁 vs 冷たい出汁の楽しみ方

温かい出汁は、身体を内側から温めてくれるだけでなく、香りの立ち方もうま味の広がりも豊かになります。 特に椎茸や煮干しのような香りが特徴的な素材は、温かくすることでその力がより引き出されます。

一方で、冷たい出汁は夏場の水分補給や、すっきりした飲み口を楽しみたいときにぴったりです。昆布やかつお節、野菜出汁のように雑味が少なく軽やかな素材は、冷やすことで清涼感が増し、ぐっと飲みやすくなります。


素材と温度で、出汁の印象はがらりと変わる

出汁は「飲む温度」と「素材の個性」によって、まったく違った表情を見せてくれます。気分や体調、季節に合わせて、飲みたい出汁を選ぶこと――それもまた、出汁の楽しみ方のひとつです。

たとえば、暑い日は冷たい昆布出汁に梅干しを落として爽やかに。寒い朝には椎茸と昆布の合わせ出汁で、じんわり身体を温める。

そんなふうに、日々の一杯を季節に寄り添わせるのもおすすめです。


クセの強い素材を「冷やし出汁」として楽しむための工夫

煮干しや干し椎茸、トビウオ(あご)などは、香りやコクが豊かな分、そのまま冷やして飲むと渋みやクセが前に出やすい傾向があります。冷やし出汁として美味しく飲むには、ひと手間かけてやさしい味わいに整えるのがおすすめです。


煮干し(片口イワシ)

  • 頭とはらわたを取る(苦味の原因を取り除く)
  • 水出しでゆっくり抽出(冷水に6〜8時間漬けるとえぐみが出にくい)
  • 昆布と合わせてマイルドに
  • 薄めに仕上げる(濃くすると渋みが出やすい)

干し椎茸

  • 冷水でじっくり戻す(一晩かけて抽出することで香りが穏やかに)
  • 昆布と合わせて調和をとる
  • 少量ずつ使う(椎茸だけだと香りが立ちすぎることがある)

トビウオ(あご)

  • 焼きの香ばしさが冷たいと強く出るため、薄めに抽出
  • 昆布とブレンドしてまろやかさを加える
  • 梅干しや柑橘類(すだち、レモン)を加えて清涼感をプラス
  • 冷蔵庫でしっかり冷やして、キリッと引き締める

ワンポイント アドバイス

クセのある素材は「単体で濃く出す」よりも、「他の素材と合わせて軽く仕上げる」ことで、冷やしても飲みやすいバランスに整います。


手軽に楽しめる!おすすめの出汁パック

「出汁を自分で取るのは少しハードルが高い…」という方には、市販の出汁パックがとても便利です。パックを水に入れるだけで、自然素材のうま味がじんわりと引き出され、手間なく本格的な味わいが楽しめます。

茅乃舎 あごだし & だし 便利な出汁パック

冷水に数時間つけておくだけでも出汁がとれるため、冷やし出汁づくりにもぴったり。暑い季節には、前日の夜に仕込んで冷蔵庫に入れておくだけで、翌朝すぐに爽やかな一杯が楽しめます。

以下に、いくつか出汁パックをご紹介します。


久原本家 茅乃舎(かやのや)だし
  • 素材:焼きあご、かつお節、昆布、うるめいわしなど
  • 特徴:風味のバランスが非常に良く、香り豊かで味に深みがある
  • ポイント:少し高価ですが、プロの料理人にも愛用される安定のクオリティ
  • おすすめの飲み方:冷水出汁でも香り高く、上品な冷やし出汁に

茅乃舎 野菜だし(コンソメ風味)
  • 素材:玉ねぎ、にんじん、セロリ、キャベツなど(すべて国産)
  • 特徴:動物性素材を使わないのに、驚くほどコク深く洋風コンソメのような味わい
  • ポイント:和風にも洋風にも合い、冷製スープ風の冷やし出汁にも最適
  • おすすめの飲み方:トマトやきゅうりを加えて、食べる冷やし出汁にもアレンジ可能

無印良品「素材を生かした だしパック」
  • 素材:かつお節、昆布、煮干しなど
  • 特徴:化学調味料・保存料不使用で、クセが少なく自然な味わい
  • ポイント:価格も手頃で、日常的に使いやすいのが魅力
  • おすすめの飲み方:野菜と合わせて、よりやさしい出汁に仕上げるのも◎

手軽さと味わい、どちらも叶える選択肢

出汁パックを使えば、出汁を取る手間を省きながらも、素材本来のうま味をしっかり感じられるのが嬉しいポイントです。 冷水に数時間つけるだけでも十分に味が出るため、忙しい朝や疲れた夜にもぴったり。味に慣れてきたら、出汁パックをブレンドしてみるのもおすすめです。

商品名冷し出汁適正コメント
久原本家
茅乃舎 だし
公式には煮出しが基本とされていますが、水出しでも3~4時間程度でしっかりとした旨みが出ます。特に昆布・かつお節・うるめいわしの相乗効果が効いています。冷蔵庫でゆっくり抽出するのがおすすめ。
茅乃舎 野菜だし玉ねぎ・セロリなどの野菜素材は水出し可能ですが、加熱した方がコクが出やすい。冷水抽出でも3〜6時間ほど置けばほんのり甘みと香味が出てきます。煮出してから冷した方が冷製スープとして楽しめる。
無印良品
「だしパック」
かつお・昆布・煮干しベースのため、水出しでも旨みがしっかり出ます。3〜5時間ほど冷蔵庫で抽出すれば、クセのない飲みやすい出汁に仕上がります。手頃で試しやすいのも魅力。

上で紹介した、いずれの出汁パックも、冷蔵庫で数時間置くだけで飲める程度の味が出ます。特に茅乃舎の和風だしや無印のパックは水出しに向いており、しっかりとうま味が抽出されます。

「茅乃舎 野菜だし」は、ほぼコンソメスープです。煮出してから冷蔵庫で冷やすと冷製スープとして美味しく飲めます。


自分で作る、冷やし出汁のすすめ

市販の出汁パックも便利ですが、素材の味をじっくり感じたいなら、自分で出汁を取る時間もまた格別です。 とくに冷やし出汁は、水に素材を浸けておくだけのシンプルな方法でもしっかり味が出るため、初めての方にもおすすめです。

自家製 冷やし出汁

昆布+かつお節のシンプル水出しレシピ

最も基本的で失敗しにくいのが、昆布とかつお節の合わせ出汁。冷水でゆっくり抽出することで、雑味のない、まろやかで上品なうま味が引き出されます。

材 料
✔ 水 … 500ml
✔ 昆布 … 5〜8g(10cm角ほど)
✔ かつお節 … 10g

作り方
✔ 昆布を水に入れ、冷蔵庫で3〜4時間おく(前夜から一晩でもOK)
✔ かつお節を加え、さらに15〜30分浸ける
✔ ペーパーやキッチン用フィルターで濾せば完成

→ 昆布だけで作ればさらにあっさりとした味わいに。朝や水分補給用にもおすすめです。

→ かつお節を加えるとグルタミン酸(昆布)+グアニル酸(干し椎茸)+イノシン酸(削り節)で、うま味の相乗効果が最大限になり、味わい豊かな風味になります。

かつお節と真昆布の合わせ出汁に梅干しを加える

干し椎茸と昆布を使った冷やし出汁のコツ

干し椎茸は、グアニル酸による深いコクと独特の香りが特徴の出汁素材です。冷やして飲む場合は、香りが立ちすぎないよう水でじっくり戻してから使うのがポイントです。

材 料
✔ 水 … 500ml
✔ 昆布 … 約5g(10cm角ほど)
✔ 干し椎茸 … 1〜2枚(スライスでも可)

作り方
✔ 昆布と干し椎茸を一緒に容器に入れ、水を注ぐ
✔ 冷蔵庫で一晩(6〜8時間)ゆっくりと抽出
✔ 椎茸と昆布を取り出し、ペーパーなどで軽く濾して完成

→ 柑橘や梅干しを加えると、香りに変化が出て清涼感がアップ


アレンジで広がる、夏の冷やし出汁

冷やし出汁の良さは、自分の好みに合わせて自由にアレンジできるところにもあります。 素材を変えたり、トッピングを加えることで、毎日の一杯にバリエーションをつけられます。

夏らしいアレンジ例
柑橘を加える(すだち・ゆず・レモン):香りが立ち、さっぱり感が増す
梅干しを加える:塩分補給とアクセントに
トマトやきゅうりのスライスを入れる:見た目も涼しげで、栄養もプラス
千切り生姜:ピリッとした辛味と香りがアクセントに。身体を冷やしすぎず、後味も引き締まる。
氷を浮かべる:キリッと冷やして飲むと、暑い日の体に染み渡る

自分で作るからこそ味わえる、一杯の豊かさ

好みの素材を選び、時間をかけて抽出する。その過程もまた、出汁を飲む楽しみのひとつです。お気に入りのボトルに冷やし出汁を仕込んでおけば、暑い日も、心と体をやさしく整える一杯に出会えるはずです。

自家製 冷やし出汁(昆布、かつお、椎茸)

出汁の健康効果を科学で見る ― 食欲・血糖値・心への作用

最近では、出汁の「おいしさ」だけでなく、健康や美容のサポートとしての効果にも注目が集まっています。 日本経済新聞・日経スタイル女性にうれしい「だし」ダイエット効果や冷え改善も では、以下のような効能が紹介されていました。

この記事では、出汁に含まれるうま味成分(グルタミン酸やイノシン酸など)がもたらす以下の効果が取り上げられています:

効果内容
満腹感の促進出汁を飲むことで脳が「満足した」と感じやすく、食べすぎを防ぐ手助けに
血糖値の抑制食前に出汁を飲むことで、血糖値の急上昇を抑える「セカンドミール効果」が期待できる
冷えの改善温かい出汁は内臓をやさしく温め、冷えやすい体質の人にも効果的
間食の予防空腹時に低カロリーで満足感のある出汁を飲むことで、無意識な間食を防ぐ習慣に

大学研究から見た“うま味の力”――近畿大学の実験結果より

近畿大学農学部(奈良キャンパス)でも、かつお出汁に含まれるうま味成分が脳と身体に与える作用を研究しています。 「おいしさとは何か。かつおだしの健康機能から見えてくるおいしさの正体」 では、以下のような観察結果が報告されています。

  • 出汁を飲んだ被験者は、そうでない人よりも食後の満腹感が高い
  • 同じ献立でも、食前に出汁を飲んだ方が摂取カロリーが低下する
  • 血糖値の変化が緩やかになり、身体への負担が軽減される

さらに、かつお出汁には次のような多彩な生理作用も期待されているそうです。

  • 疲労回復・高血圧抑制
  • 胃の動きを助け、唾液の分泌を促進
  • 満腹感の持続・脂肪摂取の抑制
  • 脳の活性化・ストレス軽減・抗うつ効果

体にも、心にも良い効果があるかつお出汁は万能薬です。


毎日の“ちょっと出汁習慣”で、心と体を整える

忙しい朝や、間食しそうな夕方。そんなときに温かい出汁を一杯飲むだけで、食事のコントロールや体調管理につながります。

とくに夏は冷たい出汁にして、さっぱりと水分・ミネラル・うま味をまとめて補給。手軽で、体にやさしくて、しかもおいしい。そんな出汁はまさに、味方になってくれる“飲む健康習慣”です。

忙しい朝や、間食しそうな夕方。そんなときに温かい出汁を一杯飲むだけで、食事のコントロールや体調管理につながります。特に夏場は冷やし出汁にして、水分・ミネラル・うま味を一度に摂れる“やさしい一杯”に。

手軽で、体にやさしく、しかもおいしい。そんな出汁はまさに、現代人に寄り添う“飲む健康習慣”です。


季節に寄り添う一杯として ― 出汁のある暮らし

暑い日には、キリッと冷えた出汁で身体の内側から涼やかに。寒い日には、湯気の立つ一杯で心と身体をじんわり温める。疲れているとき、忙しいとき、少し気持ちを整えたいときにも、出汁のやさしさがそっと背中を押してくれます。

市販の出汁パックは手軽で便利、しかもとても美味しい。でも、素材を選び、ゆっくりと抽出する自家製の冷やし出汁には、また違った味わいと愛着があります。そのどちらも、“飲む出汁”というシンプルな習慣が持つ奥深さと豊かさを教えてくれました。

あなたの暮らしの中にも、ぜひ一杯の出汁を。

きっと、新しい美味しさと、ささやかな心地よさに出会えるはずです。

Post Date:2025年5月29日 

肩の痛み・四十肩に!SLACK RAIL®︎とUbisla®︎で体幹から整えるセルフケア法

Slack Rail CompactとUbisla(モカブラウン)

肩を上げるとズキッと痛む。腕を後ろに回すのもツラい―― 「ついに来たか、四十肩(五十肩)…」と覚悟を決めました。

整形外科では「肩関節周囲炎ですね」と診断され、処方されたのは痛み止めと「しばらく様子を見ましょう」と。でも、数ヶ月経っても一向によくなる気配がありませんでした。

そんなとき、知り合いにすすめられたのが SLACK RAIL(スラックレール)。正直、最初は半信半疑。でも、その場でプランクを試した瞬間、肩まわりがじんわりほぐれるような感覚がありました。

「これは…!」と感じ、その場で即ポチ。

さらに、体幹トレーニング用の Ubisla(ユビスラ) も気になって一緒に購入。こちらはまだ効果の実感が薄いものの、SLACK RAILには感謝しかありません。


体を整える“ゆらぎ”とは?SLACK RAILの仕組み

「不安定さが体にいい」と聞いても、正直ピンとこないかもしれません。 でも、バランスボールを思い浮かべてみてください。

インナーマッスルは、主に「姿勢を安定させる」「関節を正しく支える」役割を持っています。そのため、インナーマッスル(深層筋)を鍛えるには、不安定な状況で姿勢を保つような運動がとても効果的とされています。

実際に、バランスボールなどもその代表例ですが、SLACK RAILはそれよりもコンパクトで、より局所的な「揺らぎ」が生まれる点が特徴です。

バランスボールが全身の大きな動きに対して反応するのに対し、SLACK RAILは体の一部(腕・脚・肩など)だけを置いても繊細な反応が起きるので、ピンポイントで深層筋に効かせたい人にとっては非常に優れたツールです。

SLACK RAILは、カマボコ上の形をしていて、適度な柔らかさがあるので、まさに“ちょうどいい不安定さ”を生む道具。

SLACK RAIL

固定されていない分、手や足を置くだけでも細かい揺らぎが起き、自然と体がそれに反応します。意識しなくても体幹の筋肉が働く状態がつくられるため、初心者でも「効いてる感覚」を実感しやすいのが特徴です。

SLACK RAILには、用途に合わせて選べる2つのタイプがあります。「T(通常タイプ)」と「COMPACT(コンパクトタイプ)」です。それぞれに特徴があるので、目的や使い方に合わせて選ぶ参考にしてみてください。

項目 SLACK RAIL T SLACK RAIL COMPACT
サイズ 約 長さ50cm × 幅6cm × 高さ4cm 約 長さ29.5cm × 幅6cm × 高さ4cm
重量
約150g / 1本 約85g / 本
形状 半円形(かまぼこ型)
素材 特殊ポリエチレンフォーム
カラー 全6種類(イエロー、レッド、ブルー、
グリーン、ブラック、ピンク)
全7種類(イエロー、レッド、ブルー、
グリーン、ブラック、ピンク、モカブラウン)
販売形態 1本 2本セット

私は、SLACK RAILを使って前腕プランクをしたいという明確な目的があったので、上腕(肘から手首)の長さにフィットするCOMPACTタイプを選びました。長さがちょうどよく、前腕が安定して乗る安心感があり、無理のない姿勢で継続できています。


SLACK RAIL でプランクをすると肩がラクになる?

SLACK RAILは、体に“ちょうどいい揺らぎ”を与えることで、無理なく体を整える手助けをしてくれるセルフケアアイテムです。以下のような効果が期待されています。

  • 姿勢の改善(特に骨盤や肩の位置が安定しやすくなる)
  • インナーマッスルの活性化(体幹の深部に自然とスイッチが入る)
  • 筋膜や関節周囲の動きの改善(可動域が広がる)
  • 運動不足による体の“鈍さ”をリセットする感覚

こうした変化は、激しい運動をしなくても数分間SLACK RAILを使うことで、少しずつ実感できるのが特徴です。


なぜ肩痛に効くのか?

肩というのは、実は体の中でも特に複雑で繊細な構造をした部位です。

肩関節そのものは「腕の骨(上腕骨)」と「肩甲骨」、さらに「鎖骨」などによって構成されていて、そこに20種類以上の筋肉が関わって動いています。

  • 肩を上げる(肩甲挙筋:けんこうきょ・三角筋:さんかくきん)
  • 肩を支える(棘上筋:きょくじょうきん・棘下筋:きょっかきんなどのローテーターカフ)
  • 肩甲骨の動きをコントロールする(僧帽筋:そうぼうきん・前鋸筋:ぜんきょきん)

…などなど、非常に多くの筋肉が連携して動いているのが肩なんです。下図はChatGPTに肩の筋肉を描いてもらいました。

肩の筋肉 by ChatGPT

肩には多くの筋肉が連携しているので、どこか一部の筋肉が硬くなったり、動きが悪くなると、肩全体に痛みや動かしづらさが出やすいという特徴があります。


SLACK RAILでのプランクが効く理由

SLACK RAILの上に腕を乗せてプランクをすると、不安定な分、肩や肩甲骨まわりの深部の筋肉が“反射的に”動員され、自分では意識しづらい小さな筋肉にも「姿勢を保とう」とする働きが自然と生まれます。

その結果、肩まわりのインナーマッスル(特に肩甲帯周辺)が活性化されるのが特徴です。

こうした動きによって、次のような効果が期待されます:

  • 肩甲骨の安定性向上
  • 上腕骨と肩甲骨の位置関係の調整
  • 普段うまく使えていない筋肉の再教育

結果として、

  • 凝り固まった筋肉がじわっとゆるむ
  • 動きの悪い筋肉が目覚める
  • 肩甲骨の動きがスムーズになる

といった変化が起こりやすくなり、肩関節にかかるストレスが分散されて、肩の痛みの軽減につながるのではないかと思います。

肩を回す女性 by ChatGPT

SLACK RAILを使ったプランクのやり方

SLACK RAILは、ただの床よりもわずかに不安定なため、プランクをするだけでも肩・背中・お腹まわりの深層筋にじわっと効いてくるのが特徴です。

ここでは、実際に私が行っている「前腕を乗せるプランク」の方法をご紹介します。


やり方:前腕プランクの手順

  1. SLACK RAILを床に2本並べる**

    左右の前腕がしっかり乗るように、肩幅程度に配置します。

  2. 両前腕(肘から手首まで)をレールの上に置く

    肘の中心がレールの中心付近にくるようにします。

  3. つま先を立てて身体を一直線にキープ

    首からかかとまで一直線。お尻が上がりすぎないよう注意。

  4. 呼吸を止めずに20〜30秒キープ

    慣れてきたら時間を徐々に伸ばしてOK。

  5. 3セットから5セット繰り返す

    20秒 x 3セットぐらいから始めましょう。

SLACK RAILでプランク by ChatGPT

ポイント

  • 前腕の位置を微調整することで、肩の刺激ポイントが変わります
  • 背中や肩甲骨周辺に意識を向けると、自然と姿勢が整ってくる感覚があります
  • 目線はやや前方の床を見ると、首に力が入りにくくなります

⚠️ 注意点

  • 痛みが出る場合は無理をしないこと
  • 腰が反ったり、お尻が落ちたりしないようにフォームを意識
  • 肩がすくみやすい方は、肩甲骨を軽く内に寄せる意識を持つと安定します

無理に力を入れる必要はありません。わずかな揺れに“耐える”だけで、自然と効いてくる。これがSLACK RAILならではの、やさしくも深く効くセルフケアです。


Ubisla(ユビスラ)についても少しだけ

SLACK RAILと一緒に気になって購入したのが、Ubisla(ユビスラ)という、足指の間に挟むタイプのセルフケアアイテムです。

Ubisla(ユビスラ)

公式サイトによると、足指に挟むだけで足本来の力を引き出し、体幹の活性化や転倒予防、冷え性・むくみ対策にもつながるという、ちょっと不思議なトレーニングツール。

Ubisla(ユビスラ)挟むだけで体幹トレーニング

正直なところ、まだ明確な効果を実感できているわけではないのですが、足の指がじんわり広がる感じがとても気持ちよくて、ちょっとクセになります。

「普段、こんなに指が縮こまってたのか…」と、改めて気づかされます。素材は弾力のある発泡ゴムで、しっかりと足指の間に挟まってズレにくいのも安心ポイント。

お風呂あがりやストレッチのついでに挟んでおくだけでも、ちょっとしたリフレッシュタイムになります。

「これ1つで劇的に変わる」というよりは、体に意識を向けるきっかけとして、気軽に取り入れられるアイテムだと感じています。


まとめ:ちょっとした違和感に、ちょっとした習慣を

「そのうち治るだろう」と思っていた肩の違和感が、数ヶ月経ってもよくならなかったとき、何かひとつでも自分でできることがあればと思って試したのが、SLACK RAILでした。

結果的に、SLACK RAILを使ってプランクを取り入れただけで、肩の違和感は劇的に改善されました。何より、短時間でできるというのが、無理なく継続できた大きなポイントです。

一方で、Ubisla(ユビスラ)はまだ大きな変化を感じてはいませんが、足の指が広がる心地よさや、立ち方・バランスに気づくきっかけとしては、十分価値のあるアイテムだと感じています。

肩の違和感を何とか改善したい――

そんな方に、まずは“ちょっと試せる道具”としてのセルフケアツールをおすすめしたいです。

Post Date:2025年5月24日 

筋膜リリースで肩コリ・腰痛を解消!MYTREX REBIVE MINI XS2の効果的な使い方

MYTREX REVIVE MINI XS 2

最近、「肩がコル」「背中がガチガチ」「長時間座っていると腰がツラい」と感じていませんか? デスクワークやスマホ操作が当たり前になった今、こうした不調に悩む人がとても増えています。

これらの不調の多くは、単なる疲れではなく、筋膜の癒着や筋肉の深いコリ(=トリガーポイント)が原因かもしれません。

これまで、セルフケアにランブルローラー(フォームローラー)やビースティーボール(マッサージボール)を取り入れてきました。ガチガチに固まった深層のコリにはやっぱり“刺さる”道具が最高です。

実際、筋膜の癒着を解消する「筋膜リリース」や、筋肉の緊張点に働きかける「トリガーポイント療法」は、慢性痛の軽減や柔軟性の向上に有効であることがわかってきています。

ビースティーボールは浴槽内で使っていますが、お風呂じゃないと滑らず、“面で広くほぐす”ような動きがしづらいのが難点です。また、「手が届かずトリガーポイントをうまく狙えない…」「場所によっては、力を込めることができない」と不便さもあります。

そこで、日々のケアにプラスしたのが、パーカッシブ療法(振動刺激)を取り入れた『MYTREX REBIVE MINI XS 2』というコンパクトなマッサージガン。小型ながらしっかり振動し、角度の調整も自由自在で簡単に扱えます。

振動刺激は筋膜や筋肉の血流を促進し、可動域の改善や慢性的なこわばりの軽減にもつながるとされており、ガチガチの体がスッと軽くなる感覚が得られます。


肩コリ・腰のだるさは “筋膜” と “トリガーポイント” が原因かも?

「肩がこる」「背中が張る」「腰がだるい」──こうした慢性的な不調の原因は、単なる“筋肉疲労”ではないかもしれません。 最近では、筋膜の癒着トリガーポイントと呼ばれる筋肉のしこりが、こうした不調の根本原因として注目されています。

MYTREX REVIVE MINI XS 2:「筋膜」と「トリガーポイント」が原因かも

筋膜とは?──筋肉を包む“ウェットスーツ”のような存在

筋膜(きんまく)は、筋肉を包む薄い結合組織で、体全体に張り巡らされている“ボディスーツ”のような存在です。 筋肉だけでなく、骨・内臓・神経・血管など、あらゆる組織を包み込み、それぞれの位置を適正に保ち、動きがスムーズになるよう支えています。

よく言われる例えとして、鶏肉についている半透明の膜を思い浮かべるとわかりやすいでしょう。


筋膜が硬くなると、どうなる?

筋膜は本来しなやかですが、以下のような要因で“ねじれ”や“癒着”を起こしやすくなります:

  • 長時間の同じ姿勢(デスクワークなど)
  • 運動不足やストレス
  • 怪我や過度な使いすぎ

筋膜が癒着すると、筋肉の動きが悪くなり、血流や神経の働きも妨げられます。
その結果、以下のような不調が現れることがあります:

  • 肩こり、腰痛、背中のハリなどの慢性痛
  • 筋肉の柔軟性の低下、関節の可動域の制限
  • 血行不良、疲労の蓄積、姿勢の乱れ

筋膜リリースとは?──筋膜の癒着を“解放”するセルフケア

筋膜リリースは、硬くなったり癒着した筋膜に対して、 圧迫・摩擦・ストレッチなどの刺激を与えることで、筋膜を元の滑らかで柔軟な状態に戻すアプローチです。

このリリースにより、以下のような効果が期待できます:

  • 動きやすさの改善(筋肉・関節がスムーズに動く)
  • 痛みの軽減
  • 血行促進・疲労回復
  • 姿勢バランスの改善

トリガーポイントとは?──不調を引き起こす“コリの芯”

トリガーポイントとは、筋肉の中にできる過度な緊張状態(しこり)のこと。
押すとズーンと響いたり、離れた部位に痛みを飛ばす「関連痛」を引き起こすのが特徴です。

例:
  • 肩のトリガーポイント → 首や腕の痛みに波及
  • お尻のトリガーポイント → 腰や脚のだるさにつながる

日常的な動作や姿勢がつらくなる原因が、意外な場所の“コリの芯”に潜んでいることも多いのです。


なぜ今、筋膜リリースとトリガーポイント療法が注目されているのか?

この2つのケア法は、アスリートや理学療法の現場でも広く活用され、研究も進んでいます。
次のようなメリットが科学的にも確認されつつあります:

  • 柔軟性の向上、可動域の拡大
  • 慢性的なコリや痛みの緩和
  • リラクゼーション効果、血流促進

こうしたケアは、正しい知識と、体に合った道具を使えば、自宅でも十分に行うことができます。


MYTREX REBIVE MINI XS 2の特徴──“整体師の手”を持ち歩ける感覚

「ピンポイントで狙いたい」「広くゆるめたい」「強すぎず、でも深く届いてほしい」──
セルフケアの悩みは、人によっても部位によっても違うもの。

そんなニーズに応えるように進化したのが、第2世代のハンディガン『MYTREX REBIVE MINI XS 2』です。


30通りの刺激を実現するマルチ調整機能

このモデル最大の特長は、振動の“速さ”と“深さ”の組み合わせで30通りの刺激が選べることです。

  • 速さ(振動スピード):5段階で調整可能(例:やさしいほぐし〜深部刺激まで対応)
    MYTREX REVIVE MINI XS 2:速さ(振動スピード)
  • 深さ(ストローク幅):2mm〜7mmの6段階で可変
    MYTREX REVIVE MINI XS 2:深さ(ストローク幅)
  • 手圧変動テクノロジー:押し当てる力に応じて自動で深さが変化

まるでプロの整体師が“押し加減”を変えながら施術してくれているような感覚。 筋膜リリースだけでなく、トリガーポイントにも深く届きやすいのが魅力です。


小型・軽量なのにパワフル。どこでも使いやすい設計

手のひらサイズのコンパクトボディながら、しっかり振動が伝わるのもポイント。

  • 軽量設計で、女性でも片手で扱いやすい
  • 長時間の使用でも疲れにくく、出張や旅行にも持ち運びしやすい

私は肩甲骨の内側や腰の奥など、手が届きにくくフォームローラーでは当てにくい部位にもこれ1台でアプローチしています。


静音&コードレスで、時間・場所を選ばない

リビングでテレビを見ながら、ベッドで寝る前の5分間、あるいは仕事中の休憩にも。
静音設計で家族の迷惑にならず、充電式なのでコードも不要。思い立った時にすぐ使えるのが意外と大きなメリットです。


各アタッチメントの活用法──筋膜リリースとトリガーポイントへのアプローチ

MYTREX REBIVE MINI XS 2には、目的や部位に応じて使い分けられるアタッチメントが複数付属しています。
それぞれの特徴と、筋膜リリースおよびトリガーポイント療法での活用方法を見ていきましょう。


1. 球形アタッチメント(BALL HEAD)

MYTREX REVIVE MINI XS 2:球形アタッチメント

最も汎用性が高く、柔らかめの刺激で広い範囲に使えるスタンダードタイプです。

  • おすすめ部位:背中、太もも(前・裏・外側)、お尻、ふくらはぎなどの広い筋肉群
  • 筋膜リリース用途:面積の広い筋肉の表層を滑らせるように動かし、全体的な筋膜の柔軟性を促進
  • トリガーポイント用途:面全体にやさしく当ててから、圧痛点まわりを軽くほぐす“前準備”に適している

初心者や初めての部位には、まずこのアタッチメントからスタートするのが安心です。


2. 平形アタッチメント(FLAT HEAD)

MYTREX REVIVE MINI XS 2:平形アタッチメント

平らな接地面で、均一な圧をかけたい時に便利な万能タイプ。

  • おすすめ部位:太もも、背中、二の腕、ふくらはぎなど
  • 筋膜リリース用途:球形と同様に広範囲に使用できますが、よりパワフルでしっかり圧をかけたいときにおすすめ
  • トリガーポイント用途:筋肉の厚い部位で“軽く押し込むように”して使うと、深部までアプローチしやすい

ウォームアップやクールダウン、日々のリラクゼーションにも使いやすい形状です。


3. 円柱形アタッチメント(BULLET HEAD)

MYTREX REVIVE MINI XS 2:円柱形アタッチメント

先端が細く、振動が一点に集中するため、ピンポイントの刺激が可能です。

  • おすすめ部位:足裏、手のひら、肩甲骨のキワ、関節周り、臀部の深層部など
  • 筋膜リリース用途:筋膜の癒着が起こりやすい小さな部位、足底筋膜などに
  • トリガーポイント用途:ズーンと響く「しこり」や硬結に対して、慎重に短時間でアプローチ

※骨に当たらないように要注意。特に強い刺激のため、1か所に長く当てないようにしましょう。


4. U字形アタッチメント(FORK HEAD)

MYTREX REVIVE MINI XS 2:U字形アタッチメント

二股に分かれた形状で、骨の両側を挟むように使えるアタッチメントです。

  • おすすめ部位:背骨の両脇、首の付け根、アキレス腱の周辺など
  • 筋膜リリース用途:筋線維や筋膜が明確な走行をしている部位に沿って、リズムよく滑らせるように使用します
  • トリガーポイント用途:背骨沿いなどに並ぶ小さな圧痛点に対し、骨を避けながら軽く刺激するのに適している

「骨に当てないように沿わせる」構造が、セルフケアにおいて非常にありがたい設計です。


5. スカルプ用アタッチメント(SCALP HEAD)

MYTREX REVIVE MINI XS 2:スカルプ用アタッチメント

頭皮の血流促進やリラクゼーション用に設計されたアタッチメント。平形ヘッドに装着して使用します。

  • おすすめ部位:頭全体(側頭部、後頭部、頭頂部)
  • その他の効果:眼精疲労、頭の重だるさのケア、顔まわりのリフト感アップなどに活用

「頭皮も筋膜の一部」と考えれば、緊張をゆるめるという点で間接的な筋膜ケアとも言えますが、用途はやや特殊です。


スピード&ストロークの使い分けガイド

MYTREX REBIVE MINI XS 2は、5段階のスピード設定2〜7mmの可変ストローク幅(6段階)に対応しており、 筋膜リリースからトリガーポイント療法、リラクゼーションまで幅広くカバーできます。

以下は、目的別におすすめの設定・アタッチメント・使用部位をまとめた一覧です。

目的別アタッチメント
用途 スピード(レベル) ストローク幅(mm) おすすめアタッチメント 代表的な使用部位
筋膜リリース(表層・広範囲) レベル1〜2(低速) 2〜4mm(浅め) 球形・平形 太もも(前・外)、背中(広背筋)、ふくらはぎ、お尻(表層)
筋膜リリース(深層・重点部位) レベル2〜3(中速) 4〜6mm(中程度) 平形・U字型 お尻(深部)、肩甲骨まわり、ハムストリング、首の付け根
トリガーポイントアプローチ レベル4〜5(高速) 6〜7mm(深め) 円柱形 お尻の奥、足裏、手のひら、肩・腰の“しこり”ポイント
リラクゼーション/クールダウン レベル1(超低速) 2〜3mm(浅め) 球形・平形・スカルプ用 全身(広範囲)、腕、ふくらはぎ、頭皮(スカルプ用)

💡 使い分けのコツと注意点

  • 初めての部位や敏感な箇所は、低速・浅め・球形からスタート
  • 筋膜リリースは“広く流す”、トリガーポイントは“短く深く押す”が基本の考え方
  • 骨や神経の近くは避ける(特に円柱形は注意)
  • 1か所につき30秒〜1分程度を目安に。痛みがある場合はすぐに中止

📌 こんなときどうする?Q&A的な補足(必要に応じて追記できます)

  • 「どのアタッチメントが一番効く?」 → 筋膜リリースなら球形 or 平形。ピンポイントなら円柱形。
  • 「全部試す必要ある?」 → まずは2〜3種類でOK。体感に合わせて増やしていくのが◎
  • 「痛いのが効いてる証拠?」 → 必ずしもそうではありません。「心地よい強さ」が最も効果的です。

私のセルフケアルーティン ── 3ステップで無理なく続くセルフケア

セルフケアは“継続”が何より大切。でも、がんばりすぎると逆に続かなくなってしまいます。

そこで私が取り入れているのが、「リラックスしながらできる」「お風呂のついでにできる」「ストレッチと組み合わせる」という、無理のない3ステップケアです。


① ソファーでリラックスしながらMYTREX

まずは、1日の終わりにソファーに座ってリラックスしながら、MYTREX REBIVE MINI XS 2を使用します。 設定はストローク7(最大)、スピード1(最低)。 ゆっくりした振動が心地よく、体を“ゆるめる”準備にぴったりです。

特に使うのは:
  • 肩まわり(僧帽筋や肩甲骨の周囲)
  • 胸(大胸筋まわり)
  • 腰の両脇
  • 太ももやお尻(長時間座った日の疲れに)

ポイントは「頑張って“ほぐそう”としない」こと。リラックスしながら、振動を感じるだけでも十分です。


② お風呂でビースティーボール

湯船につかりながら、ビースティーボールでのケアも欠かせません。
水の浮力と温熱効果で筋肉がゆるみやすく、特に頭皮や首筋には効果的です。

  • 頭皮のリフトアップや眼精疲労のケアに
  • 首の後ろ〜うなじにかけては「前傾姿勢の巻き肩リセット」に

ビースティーボールは滑りやすいお湯の中で使うと、強い刺激でも痛みが和らぐのが特徴。
「痛気持ちいい」を楽しむには最適な環境です。


③ 風呂上がりのストレッチ+ランブルローラー

仕上げは、風呂上がりのストレッチタイムにランブルローラーを使います。
温まった体は柔らかく、筋膜リリースに最適なタイミング。特に次の部位に重点を置いています:

  • 背中(脊柱起立筋まわり)
  • お尻(中臀筋・大臀筋)
  • ふくらはぎ(下腿三頭筋)

体重をかけてグリグリと転がすのは少し痛いけれど、その分スッキリ感は段違い。このステップで1日を締めくくると、翌朝の“だるさ”や“重さ”がぐっと軽くなるのを感じます。


💡 無理なく続けるコツ

3つ全部やらなくてもOK。 「今日はMYTREXだけ」「ビースティーで頭皮だけ」といったライトなケアでも、“何もしない日を作らない”ことが習慣化の鍵です。


まとめ ── MYTREX REBIVE MINI XS 2はこんな人におすすめ

肩こり、背中のハリ、腰のだるさ……
毎日のちょっとした不調の多くは、筋膜の癒着やトリガーポイントといった“体の奥のこり”が関係しています。

そんな不調に、自分の手で手軽にアプローチできるのがMYTREX REBIVE MINI XS 2
振動の速さと深さを細かく調整できるので、「ちょっとほぐしたい日」から「がっつり解きほぐしたい日」まで対応可能です。

私自身、フォームローラーやビースティーボールと併用しながら、
その日の体調やライフスタイルに合わせて使い分けることで、セルフケアの習慣化がしやすくなりました。


こんな方におすすめです:

  • デスクワークやスマホで慢性的な肩こりや腰の不調を感じている人
  • フォームローラーでは届かない深部のコリをどうにかしたい人
  • できれば家で・手軽に・すぐに使えるセルフケアツールが欲しい人
  • ビースティーボールやランブルローラーを使っていて、併用して効果を高めたい

“自分の体に、自分で手をかけてあげる”。
MYTREX REBIVE MINI XS 2は、それを手軽に、心地よく実現してくれるツールです。

あなたも今日から、ガチガチの体をゆるめる習慣、はじめてみませんか?

Post Date:2025年5月11日 

ウルトラセブンとリズムボックス、そしてYMO

ウルトラセブン 第37話「盗まれたウルトラアイ」に登場したリズムボックス

不朽の名作『ウルトラセブン』のあるエピソードで使われていた音楽機材が、テクノ音楽の礎を築いたYMOへと繋がる、ちょっとマニアックなお話しです。

『ウルトラセブン』第37話「盗まれたウルトラアイ」というエピソードで、マゼラン星への怪電波の発信源となっていたのが、なんと、バンドが生演奏する中、若者たちが踊るステージに置かれていた「リズムボックス」だったんです。

ウルトラセブン 第37話「盗まれたウルトラアイ」に登場したリズムボックス

1968年、放送当時にゴーゴークラブのような場所でドラムの代わりにリズムボックスが使われていたのかは想像の域を出ませんが、若者が熱狂するツイストのようなダンスミュージックに使われる、シンプルでアップテンポなリズムは、当時の大人たちには「単調なリズム」と映ったかもしれません。

一方で、リズムボックスの電子音で奏でられる規則正しいリズムは、近未来的な響きとして捉えられた可能性もあります。実際にテクノミュージックは70年代に開花します。

そして、繰り返される単調なリズムが、同じメッセージを何度も送るモールス信号のように聞こえたのではないか、ということです。実際、マゼラン星人のマヤは、故郷に「迎えはまだか」という短い通信を繰り返し送っていました。

さらに興味深いのは、地球防衛軍極東基地でリズムボックスのカバーが外されると、中にはテープが回っていて、テープ再生型(テープループ)のリズムボックス?でした。メロトロンのリズムボックス版⁈

ウルトラセブン 第37話「盗まれたウルトラアイ」に登場したリズムボックス

もしかしてテープループのリズムボックスってあったの?と、調べてみると、1949年に Chamberlin ‘Rhythmate’というテープに録音されているドラム音がループして再生されるというテープループ式のドラムマシンが発売されていたのを知りました。こちらがメロトロンの先祖でした、、。

60年代後半のリズムボックスは半導体で電子音を発生させるものでしたが、テープというアナログな仕組の方が、より機械的な印象を与えたのかもしれません。

にしても、恐るべしウルトラセブンです。

特撮作品に登場した「リズムボックス」という当時の新しい音楽技術への視点、そして繰り返される電子リズムという描写は、後にコンピューターと音楽を融合したYMOのような音楽が世界を席巻する未来を予見していたのではないかと勘繰ってしまいます。


1960年代後半に進化したリズムボックス

ウルトラセブンの「盗まれたウルトラアイ」が放送されたのは1968年6月16日です。

ウルトラセブン 第37話「盗まれたウルトラアイ」

1960代後半には、ACE Tone (エース電子工業) シリーズ、京王技術研究所 Donca Matic / Mini Pops シリーズなど、60年代後半には多くの名機と呼ばれるリズムボックスが発売されています。

「盗まれたウルトラアイ」が放送された1968年当時に発売されていたリズムボックスについて確認してみました。


ACE Tone シリーズ

ACE Tone Rhythm Ace FR-1 / FR-3は、アナログ方式のプリセットリズムマシンで、「電子化リズムマシンの原点」の一つとされています。

エース電子工業の創業者、梯郁太郎(かけはし いくたろう)氏は、エース電子工業を離れ、1972年にローランドを創業し、ACE Toneの技術やデザインを継承したTR-33 / 55 / 77 を発売します。これが後の名機TR-808(通称 ヤオヤ)に繋がっていきます。

  • Rhythm Ace FR-1(1967)

    FR-1は16種類のプリセットリズムパターンを搭載しており、プリセットを組み合わせることが可能です。また、FR-1はハモンドオルガンオプションとして採用されていたともあります。当時はオルガンにリズムボックスが搭載されていたんですね。エレクトーンみたいです。

  • Rhythm Ace FR-3(1967)

    8種類の基本リズムパターンの他に、2ビートと4ビートのリズムに対して、それぞれ6種類ずつのバリエーションが用意されていました。


Donca Matic / Mini Pops シリーズ

京王技術研究所は、1986年に社名がKROGとなりますが、1963年に発売した「ドンカマチック DA-20」は、国産初のリズムマシン市販機です。

Donca Matic DA-20
【引用】「ドンカマチック」が未来技術遺産に登録! | KORG

国産初となる円盤回転式電気自動演奏装置で、日本におけるリズム・マシン開発の出発点となった重要な機器として評価され、2020年に国立科学博物館が制定する未来技術遺産に登録されました。

  • Donca Matic DA-20(1963)

    回転する円盤にある接点が触れることによって真空管を使用したアナログ回路でリズム音が生成され、円盤の回転スピードを変えることでテンポが調整できるという機械的な仕組みでした。

    25種類のプリセットリズムパターンを搭載し、本体のフロントパネルにはミニ鍵盤のようなスイッチがあり、個別の音色を手動で鳴らすことも可能だったとあります。

  • Donca Matic DE-20(1966)

    Donca Matic DE-20になって機械式回転円盤から、トランジスタ回路を使用した電子式に変更されました。また、リズム音の生成もアナログ回路ですが、真空管からトランジスタに変更になっています。

  • Donca Matic DE-11

    DE-20の廉価版とありますが、詳細は不明です。動画で確認することができます。

  • Mini Pops 5 / 7(1966)

    Mini Popsシリーズは、より広範にトランジスタ技術を適用した、次の世代のリズムマシンとして位置づけられていて、トランジスタ式リズムマシンの重要なモデルと言われています。

  • Mini Pops 3 / 20S(1967)

    かなり洗練されているリズムボックスで20SのSはステレオを意味するとWikipediaには掲載されていますが、詳細は不明です。


ドンカマとは?

マルチトラックレコーディングを行う際のガイドリズムのことを、いまでも「ドンカマ」と言います。これは、かつてレコーディングスタジオに Donca Matic(ドンカマチック)が備品として置かれていた時期があり、その略称である「ドンカマ」がガイド音を指す言葉として広まったと言われています。

「YMO 1979 TRANS ATLANTIC TOUR LIVE ANTHOLOGY」のインタビューの中で細野晴臣氏も下記のように言及しています。

「このツアーのときのクリックはドンカマみたいな音が鳴っているだけで、今みたいにバックトラックが鳴っているわけではないから、それに合わせるわけにはいかない。一番肝心だったのは(高橋)幸宏のドラムなので、幸宏のグルーヴに合わせてシンセベースを弾いていたんです」

【引用】YMO 1979 TRANS ATLANTIC TOUR LIVE ANTHOLOGY - ロングインタビュー

と、「ドンカマみたいな音」という言葉を用いて、ライブのときにタイミングを合わせるためのガイド音を「ドンカマ」表現しています。

ちなみに「YMO 1979 TRANS ATLANTIC TOUR LIVE ANTHOLOGY」は、アルファミュージック設立55周年を記念して、ライヴ・レコーディングが行われた4都市5公演の全貌を伝える5CD+1BDのライヴ・ボックス・セットです。

Blu-Rayのライブ映像は、THE GREEK THEATREとHURRAHの映像を最新の技術でアップコンバート、サウンドも新たにミックスとリマスタリングが施されています。

ドラムもベースの音も一つ一つの音の粒がたっていて、とても1979年の演奏とは思えないクォリティです。それにしても細野さんのシンセベースの手弾きの演奏には天晴れです。

YMO 1979 TRANS ATLANTIC TOUR LIVE ANTHOLOGY

アルファミュージックのYouTubeチャンネルでは、このBOX SETに収録されている THE GREEK THEATREでの「RYDEEN」の映像が公開されています。

CDで聴く音楽もいいものです。

YMO LIVE AT THE GREEK THEATRE 4/8/1979

世界初の商用リズムボックス Wurlitzer Sideman

1959年に発売された Wurlitzer Sideman(ウーリッツァー・サイドマン)が世界初の商用リズムボックスと言われています。

真空管と電磁式回転ディスクを用いた機械式のリズム生成機です。ボタンを押すことで手動で演奏することも可能です。

日本のコルグ創業者である加藤氏がドンカマチック開発の着想を得る際、クラブで使われていたSidemanに触発されたというエピソードがWikipediaに記載されています。実際にSidemanの動画を見ると、Donca Matic DA-20がWurlitzer Sidemanを強く意識して作られたことがよく分かります。


テープループのドラムマシン Chamberlin Rhythmate(チャンバリン・リズメイト)

世界初のリズムボックスより10年前にハリー・チャンバリン(Harry Chamberlin)によってテープ再生式(テープループ)の「世界初のドラムマシン」であるリズメイト(Chamberlin Rhythmate)が製造されています。

1インチ幅の磁気テープループに記録された、本物のアコースティックドラムキットやパーカッション(ボンゴ、クラベス、カスタネットなど)の演奏パターン(サンプル)を再生することでサウンドを生成します。サンプリング(PCM)音源を搭載したドラムマシンLinn Drum の大先輩です。


YMOでみるリズムボックス

1980年に発売されたローランド TR-808は、ドンカマチックよりも1年早い2019年に「音楽シーンに大きな影響を与えたリズムマシン」として国立科学博物館の「重要科学技術史資料」(通称 未来技術遺産)に登録されています。

Yellow Magic Orchestra もアルバム『BGM』(1981年)でTR-808を使っています。アルバムに収録されている「1000 KNIVES(千のナイフ)」 は、坂本龍一のファーストソロアルバムのセルフカバーで、「YMO 1979 TRANS ATLANTIC TOUR LIVE ANTHOLOGY」でも演奏されいる、とてもグルービーな一曲です。必ずテーマに戻るという構成はJazzのようでもあります。

しかし、このBGMバージョンではTR-808のリズムが前面に押し出され、ヤオヤ(TR-808の通称)のキック音とクラップによって、より機械的で乾いたアレンジとなっているのが特徴です。


Nothing has to Change(何も変わらないこと)

今回のブログでは、ウルトラセブンに登場した謎のリズムボックスから始まり、初期の国産リズムマシン、そして世界の最先端を走ったTR-808やChamberlin Rhythmateに至るまで、リズムマシンの歴史を辿ってきました。

ウルトラセブン「盗まれたウルトラアイ」のエピソードで描かれた、あの単調でありながらも近未来的なリズムボックス。そして、初期のリズムボックスにおけるテクノロジーの限界からくる「シンプルに、決まったことを繰り返す」という制約こそが、リズムボックスの本質となり、その後の技術的な挑戦へと繋がっていきました。

ウルトラセブンは、北米版ブルーレイで安価に高画質で楽しむことができます。

日本のテクノロジーである Donca Matic DA-20 が示したリズムボックスの本質と挑戦は、時代を超えて脈々と受け継がれています。

少し前に『メトロノームじゃ物足りない!アップライトベース練習に最適なリズムマシンはこれだ!(おすすめ3選)』というタイトルで、B-205の購入理由について「スピーカーで音が鳴らせてシンプル操作」と書いていましたが、もしかしたら、大人になってウルトラセブンに興味をもつのも、昔のリズムボックスに惹かれるのもベースに nothing has to change という思想に基づいて判断していたのかもしれません。

テクノロジーがどれだけ進化しようとも、根源的なリズムの力、そしてシンプルな繰り返しの中に宿る魅力は不変である。音楽の歴史を紐解く中で、そんな普遍的な本質を見出す面白さを改めて感じることができました。

マニアックすぎる書籍 Rhythm Machines

Don Camatic CE-11の動画の最初に紹介されている書籍『Rhythm Machines: The rise and fall of the presets』は、1960年代後半から1980年代初頭にかけて登場したプリセット式リズムマシン(ドラムマシン)の歴史を詳細に記録したものです。Ace Tone、Eko、Elka、Farfisa、Gulbransen、Kay、Kawai、Korg (Keio)、Maestro、Seeburg、Roland、Yamahaなど、主要メーカーからマイナーなメーカーまで、300近い機種を網羅し、カラー写真とモノクロ写真を含む200ページにわたる詳細な情報が掲載されています。

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